体験したことの9割は忘れないー転職活動の経験値ー
2017/06/19
さて、転職活動の経験値、なんて言われて「そんなもん溜まりたくないわ!」と思う方も多いだろう。そりゃ転職活動なんて一生の内何回も経験したいものじゃない。
でも、「転職活動の経験」は、あればあるほど有利だ。それは間違いない。
ここでは筆者が「これだけはみんな知っていた方がいい」と思うことを3つだけ挙げてみる。どれも冷静に見れば「当たり前」と思うかもしれないが、これが自分が当事者になるとついつい見落としがちになる。
辞める理由よりも、やりたい理由を
辞める理由なんてだいたいみんな一緒。それっぽい言葉を並べているだけで、その仕事を手放さなければいけないほどの悩みや苦しみがあることには変わりない。
問題なのは、「次に何をやりたいのか」そしてそのために「今何ができて、何を出来るようになりたいか」だ。
人を採用したい会社だって、基本は「一緒に働いてくれる人がほしい」から採用活動を行っている。だから自分の会社に入ってからやってほしい事があるはずで、それがこの人なら出来るだろうか、もしくはこれから出来るようになってくれるだろうか、というところを積極的に見ていきたいと考える。
ゆえに、私の偏見もあるのかもしれないが、「今やっている仕事を辞めたい(辞めた)理由」を細かく聞いてくる会社は気をつけたほうが良い。
これは私が今の会社で面接官という立場になってからより深くわかったことだが、はっきりって前職やめた理由なんて根掘り葉掘り聞く必要はあまり高くなく、むしろどうでもよい部類。これから仕事をやってもらうにはなんら関係ないことだから。(犯罪おこしてクビになりました。とかなら話は別だが)
辞めたい理由を根掘り葉掘り聞いてくるところは、ほとんどこれらのケースだ。
・人の入れ替わりの激しいブラック体質で、「人が辞める」ことに過剰に敏感になっている
・「根性」とか「きあい」とかの精神系ワードを大切にしていて、よくわからない判断基準を持っている
・残念ながらあなたに興味を無くしていて、面接時間の消化に入ってテキトーな質問をしている
だいたいこの3つだ。どちらにせよ、あまり面白い傾向ではない。前職を辞めた(い)理由をしつこく聞いてくる会社よりも、これからの事を聞いてくれる会社を選ぼう。
転職サイトに登録した「だけ」になるな
これは「転職活動対策本」を買ってさらっと読んだだけ、みたいな人にも当てはまる。
「何かをする」というのはすごく体力のいること。それが「転職」ともなれば大きなパワーが必要なのは自分も体験していることなので理解できる。
しかし怖いのは、「本を読んで満足」「転職サイトの求人票眺めて満足」で終わってしまうことだ。それで今の自分の境遇に納得して仕事にまた全力で取り組めるのならばそれが良いのだろうが、また数日後には「転職したい」なんて気が落ち込んでいるようなら目も当てられない。
転職活動は実際に行動して良い会社に巡り合い、そこに迎え入れてもらえて初めて「転職した」ことになる。ただちょこっと転職のスタートラインに立っただけの満足感に浸っていると苦しい転職活動が余計に長引く。
ただでさえ面白くない転職活動なのだから、さくっと終わらせたいものだ。
確かに求人票眺めて満足したい気持ちはわかるが、ここで忘れてはいけないのが、「転職対策本」そして「転職サイトの求人票」はその道の「プロ」が書いた文章だということ。読んだ人が気分よくなれる、もしくは「ここに応募したら良さそうかも!」と気持ちを高揚させるための創意工夫が詰まったものすごいレベルの高い「作品」だ。それは時として「読んだだけで満足」と思わせてしまうほどに。
今私の所属している広告業界で有名な一説がある。
「同じ行動でも、人は読んだことの10%しか覚えていないが、体験したことの90%は忘れない」
転職活動本5冊読むより、求人票10ページ眺めるより、面接1回実際に受けるほうがより自分が、自分を見る他人の目がリアルに感じられるはずだ。
そもそも自力で面接にたどり着けないなら、エージェントをつければいい。自己分析本よりも、エージェントに直接会って今の自分を相談するほうがずっと物事は楽に、良い方に進む。
参考:接客業経験者の強い味方。転職エージェントとは?メリットとデメリットの比較
合同面接では他人と張り合うな
学生のときのシューカツと同じように、社会人になってからの転職活動においても面接官に対して求職者側の方が多い「集団面接(合同面接)」の機会は存在する。
これは特に我々接客業出身者がよくやりがちなのであるが、物事を手近なものと「比較」したがる。
これは職業病のようなもので、しょうがない。物を、サービスを提案する時それ単体ではなく、必ず何かと比較をして接客トークを繰り広げてきたはず。そうしたトークになれているため、ついついその場に居る誰かと自分を比較したくなる。
隣りにいる○○さんよりも○○できます!
なんて露骨にしゃべっちゃうお馬鹿さんはさすがにいないとは思うが(笑)、隣にいる人の経歴が自分より数倍いいものに見えてしまうときがあって、すごく焦ることがある。
焦るな。そして、隣の人と自分を比べるな。
焦って、そして比べ始めると、意味もなく自分の経歴を盛ってみたり、オーバーな身振り手振りを使いだしたりして落ち着きがなくなる。
はっきり言ってそれは非常に悪手。マイナスになってもプラスになることは絶対にない。
これは意外に思われるかもしれないが、集団面接は「思ったより会いたい人が多く居たけど、合う時間がない」という企業側の「時短」行動が要因であることが多く、あまり「集団」そのものに意味はない。そう、企業側は求職者同士を比べさせるために集団面接をしているわけではない。
個人だろうが集団だろうが、企業対自分の1対1であることには変わりない。もう一度言う。焦るな。比べるな。いつもの自分を、自分の熱意を必要なだけ一生懸命出す。これだけあれば十分だ。
転職活動の経験値
ずいぶんと説教臭い記事になってしまったが、同僚や後輩の相談に乗っているとこんな初歩的な部分で損をしているひとがとても多いのだ。私が真面目だと思っていた人でさえちょっとしたことでテンパってしまうのだから、きっと誰だって冷静にはいられない。恐るべし転職活動。
この記事は「読んで終わり」にしないで欲しい。是非自分の実際の転職活動の中で
「あの時あの場末のサイトにこんなこと書いてあったな」
と思い出してもらえれば幸い。10%くらいだろうけど。
お世話になったエージェント様
リクルートエージェント
ともあれ最大手のエージェントさん。わたしが一番最初に登録したところで、いろいろと良い意味で転職するにあたって衝撃を受けた会社。ここのインタビュアー※求人紹介の前に、転職希望者の面談をしてくれる人はとにかく褒める。そんなにホメられたらからだがムズムズしちゃいますよ、というぐらいホメてホメてほめまくってくれる。経歴ややりたいことを気分よく話せるし、これでもかとあいづちをうって真摯に聞いてくれるが、ホメられたことを面前のまま受け止めるとかんちがいを引き起こすので注意が必要。開かれた求人からクローズ案件までとにかく求人量がすさまじい。質より量な印象があるので、自分で瞬時に判断するヤル気が必要だが、求人が来すぎて悩むなんてのは贅沢な話かも。
DODAエージェント
全体的に温かい印象の強いエージェントさん。私が利用したときは改修中だったのか専用フォームからではなく、メールでのやりとりが中心だったのを覚えている。送られてくるメールもコピペ対応ではなく、それぞれ案件ごとにコメント貰えたりして、とても親身だったのが印象的。担当になってくれた人は良し悪しをはっきり言ってくれる人で、何事もこざっぱりと直球で言ってくれたのがかえってありがたかった。販売サービス系へ入るための転職にも強みを持っていて、これは「接客業経験者の扱いにも慣れている」ことの証明でもある。
キャリコネ転職サービス
ここは事前面談がなく、キャリアシートのみの登録でサクッと始まる中小規模のサービス。「キャリコネ」という会社OBが年収から待遇から生々しく語るサイトを利用したひとは結構多いのではないか。そこが運営するエージェントサービス。こざっぱりしたホームページからは想像も出来ない熱い、熱意を持った担当さんが付いてくれたので良い意味で意表を付かれたエージェントさん。私の経歴にたまたま合ったのもあるのだろうが、非公開求人を積極的に紹介してくれた印象が強く残っている。紹介してくれる案件もウィットに富んだものが多く、他のエージェントさんとの差を付けるために様々な施策を組んでいて、熱意がこちらまで伝わってくる。実際に案件紹介をしてくれるプロジェクト担当さんは人によってトーンが違い、たまに妙にサバサバしてる人がいたりもするが、それを補ってあまりある採用活動のサポート力があった。