接客と営業の違い。異業種転職へ向けて

   

接客業経験者が何に転職しようかと考えるうえで、営業職を候補にいれることは多くあるだろう。

実際に私も接客の次に選んだ仕事は営業で、通信会社に1年半在籍して自分のキャリアを1から見直した。

しかし接客から営業に転職だ!と転職市場に足を踏み入れてから実際に転職するまでに、実に半年以上時間がかかってしまった。この半年間は自分の人生でもワーストに地獄だった。二度と経験したくない苦い思い出。

なぜ、半年も転職に時間を使ってしまったのか。それは「接客」と「営業」の違いを理解せずに営業職への転職を試みたから。当時この本質を押さえていればもっと楽に転職できただろうになぁ(遠い目

接客と営業は似ている?

結論

1ミリも似ていません。

大切なことなのでもう一度

1ミリも似ていません。

よくブログやサイトで「接客と営業は似ている」とか「共通点の多い」とかって見かけるけど、それ絶対両方を経験していない憶測で書いてるよね。実際に接客も営業も両方経験しているひとは皆こう言うはず。

お互いの経験が活かせることも確かにあるけど、ぜんぜん違う仕事だよと。

顧客と接する時間軸のちがい

この違いについて表現しようといろいろ考えたけどうまく言語化できないので、夏の風物詩「扇風機」が売れるまで、でたとえ話をしようと思う。

扇風機。せんぷうき。コンセントに電源ケーブル差してスイッチを入れれば羽根が回り、涼しい風を送ってくれる、夏野暑さをしのぐための強い味方だ。そして「比較的低予算」で、「楽に」手に入れて使うことが出来るが、「夏が過ぎると収納時邪魔になる」という属性を持つ。

顧客に扇風機が売れるまでのフロー

  1.  客が「近頃めっきり暑くなってきたなぁ」と不快感を感じる
  2.  「暑さ」という不快感を解消するための手段とそれにかける予算を考える
  3.  「扇風機」の存在を知る
  4.  扇風機の種類、値段、使い方、自分の行動範囲で手に入るものなのかを調べる
  5.  「扇風機を使っている自分」を想像する
  6.  扇風機を買うための「予算」を検討する
  7.  扇風機を予算と比較しながら「選ぶ」
  8.  「扇風機を使っている自分」を選んだ機種と照らし合わせてもう一度想像する
  9.  選んだせんぷうきの評判を知る 
  10.  選んだせんぷうきを買う

ここまでを自覚的に意識している客はめったにいないのかもしれないが、消費者行動論という立派な学問にもなっている「消費者」としてのの意識。もっと細分化もできるが、ざっくりと「顧客が暑さという不快感を感じてから扇風機を買うまで」に色んな「判断」がなされていることに気づくだろう。

接客業のうち自分はモノを売る「販売」じゃないよってひとはこの「扇風機」という形あるモノを自分が扱った「サービス」という形のないものにおきかえても良い。違和感はないだろう。

接客業の影響範囲

さて、「接客業」が顧客に対して関われるのはどの部分か。

②から関われているようにみえる?

実際にはほとんどが⑦から。「何かを選ぶ・買う」という方針が固まらないと、ショップや店舗にはお客は足を運ばない。④の段階では、スマホやパソコンでの検索がほとんどだ。

元家電店の店員で、「いやいや俺は扇風機買いに来た客にその20倍の予算のエアコン売ったことあるよ」というひとは、もちろんあなたの接客が良かったこともあるだろうが、その顧客がたまたま②の段階で決めた予算が「エアコンも買える」金額だったに過ぎないということがウラにあったりする。⑥以前に固まったイメージは、イメージそのものが間違っていない限りひっくり返すことはできない。

営業職の影響範囲

では、「営業職」だとどうだろうか。

①から⑩まですべてに立ち会える?

実際には自分ひとりの力でコントロールできるのは⑥まで。⑦~⑨の過程で「他の人の意見」という客観的な事象がともなうので、どれだけ力のある営業マンでも、自分でも顧客でもない「他人の意見」という異分子を入れないといけない。⑦~⑨を客観視させない営業は無用なクレームを生むし、「押し売り」の類で、世間一般的に魅力のない商品を売らされているか、ひとりよがりの自慰営業をしているかのどちらかだ。

接客のつよみと役割

接客のつよみは、この⑦~⑨の段階で、顧客の味方として「客観的な」情報を提供できる点にある。顧客のニーズとイメージをすばやくつかみ、的確なアドバイスを送る。良い接客とは、顧客の「扇風機を使っている自分」のイメージをより正確に、リアルに想像させ、購入までのフローを顧客に遺恨が出ないようにつき添えることだ。

顧客が必要としているのはどんな扇風機だろう。デスクにおける小さいもの?風力の強いもの?それとも女性の一人暮らしを彩るおしゃれさが必要?

などなど、これら「扇風機の選び方」が理路整然と説明できれば、それはあなたがもつ立派な「接客スキル」であり、顧客が喜んで買っていけばそれは自分の職務における「成功体験」として語れる。

接客業が異業種に転職するのなら、「自己アピール」の点はここになるだろう。情報を整理し、お客さんのニーズを正しく表現する。自分のしてきたことを整理して、自分をパッケージとして面接官に提案できれば、内定はぐっと近くなる。

営業の仕事と役割

良い営業とは、顧客の①~②で自社製品に興味をもってもらうことであり、また①の段階にいる人といかに多く「アポイント」を取れるかにある。

自分が扇風機屋であるなら、②で「"扇風機"という低予算で買えて、コンセントにつなげてスイッチ入れるだけですぐに暑さをしのげますよ!」と提案すべきだし、自分がエアコン屋なら「扇風機は夏が終われば収納の邪魔になります。エアコンなら、冬は暖房器具にもなるし壁に取り付けるので収納にも困りませんよ?」とスムーズに提案できなければいけない。

接客業が「ニーズをつかむ」仕事であるのに対し、営業職は「ニーズを作り、顧客に提案すること」が仕事である。良い営業職とは、そもそも扇風機を提案する前に「最近暑くないですか?」と先回りして聞きまわれること。つまり「最近暑いな」と悩んでいる人を見つける嗅覚とトーク術があるとあっという間にトップになれる。

これから営業になろうと思うなら、この「提案するための"間"」という接客のスキルは活かすことができる。

「売り方」というアプローチは正反対になるのだが、「他人のニーズに入り込む」という人とふれあう入口の部分は唯一似ているところ。接客と営業の違いを理解したうえで、自分のスタンスをどう新しい仕事に合わせられるか。これがきっちり明確になると、内定は早い。

接客から営業を目指すなら

接客から営業を目指そうと思うなら、まずは接客と営業は「まったく別の仕事」であると理解しよう。この違いは「事務と営業」並みに違うと言っていい。まったく別の仕事なのだ。

接客業経験者が転職に苦戦するのは接客の仕事が弱いからではない。この一番ポピュラーな「接客から営業」という異業種への挑戦がさも「おとなりさんの似たような仕事」であるかのように錯覚してしまうことにある。

異業種なんだから、誰だって「初挑戦」だ。「活かせる」ところと「これから覚えなければいけないこと」の違いを明確にしたうえで、転職活動に挑戦したい。

お世話になったエージェント様

リクルートエージェント

リクルートエージェント

ともあれ最大手のエージェントさん。わたしが一番最初に登録したところで、いろいろと良い意味で転職するにあたって衝撃を受けた会社。ここのインタビュアー※求人紹介の前に、転職希望者の面談をしてくれる人はとにかく褒める。そんなにホメられたらからだがムズムズしちゃいますよ、というぐらいホメてホメてほめまくってくれる。経歴ややりたいことを気分よく話せるし、これでもかとあいづちをうって真摯に聞いてくれるが、ホメられたことを面前のまま受け止めるとかんちがいを引き起こすので注意が必要。開かれた求人からクローズ案件までとにかく求人量がすさまじい。質より量な印象があるので、自分で瞬時に判断するヤル気が必要だが、求人が来すぎて悩むなんてのは贅沢な話かも。

DODAエージェント

転職サイトDODAで転職

全体的に温かい印象の強いエージェントさん。私が利用したときは改修中だったのか専用フォームからではなく、メールでのやりとりが中心だったのを覚えている。送られてくるメールもコピペ対応ではなく、それぞれ案件ごとにコメント貰えたりして、とても親身だったのが印象的。担当になってくれた人は良し悪しをはっきり言ってくれる人で、何事もこざっぱりと直球で言ってくれたのがかえってありがたかった。販売サービス系へ入るための転職にも強みを持っていて、これは「接客業経験者の扱いにも慣れている」ことの証明でもある。

キャリコネ転職サービス

ここは事前面談がなく、キャリアシートのみの登録でサクッと始まる中小規模のサービス。「キャリコネ」という会社OBが年収から待遇から生々しく語るサイトを利用したひとは結構多いのではないか。そこが運営するエージェントサービス。こざっぱりしたホームページからは想像も出来ない熱い、熱意を持った担当さんが付いてくれたので良い意味で意表を付かれたエージェントさん。私の経歴にたまたま合ったのもあるのだろうが、非公開求人を積極的に紹介してくれた印象が強く残っている。紹介してくれる案件もウィットに富んだものが多く、他のエージェントさんとの差を付けるために様々な施策を組んでいて、熱意がこちらまで伝わってくる。実際に案件紹介をしてくれるプロジェクト担当さんは人によってトーンが違い、たまに妙にサバサバしてる人がいたりもするが、それを補ってあまりある採用活動のサポート力があった。

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